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東京地方裁判所 昭和35年(ヲ)2929号 決定 1960年10月07日

申立人 宇田川信次郎 外一名

相手方 加藤文雄

主文

東京地方裁判所執行吏は、相手方が当裁判所昭和二三年(ヨ)第三〇九七号仮処分命令に基き東京地方裁判所執行吏に委任して、昭和二三年一二月一八日申立人宇田川信次郎方に於てした別紙目録記載の建物に対する同申立人の占有解除、占有移転の執行及び昭和三五年八月一〇日同所に於て申立人有限会社宇田川商店に対してした同建物の占有排除の執行を取消すべし。

異議申立費用は相手方の負担とする。

理由

本件異議申立の理由は、相手方は昭和二三年一二月一七日に主文第一項掲記の仮処分命令を得て主文第一項掲記のとおり同仮処分の執行をしたけれども、右仮処分申請は同命令に対する異議事件(当裁判所昭和二九年(モ)第一五、五〇〇号事件)の昭和三一年一一月一五日午前一〇時の口頭弁論期日に当事者双方が出頭しなかつたため休止となり、その後三ケ月内に口頭弁論期日の指定の申立がなかつたため右三ケ月の期間経過と共に取下げられたものとみなされ、従つて右仮処分命令は失効したものであるから、申立人等は右異議事件の口頭弁論が終結となり、その後三ケ月内に口頭弁論期日指定の申立がなかつたことの当裁判所の証明書を得て昭和三五年九月二七日之を当裁判所執行吏に提出し前記仮処分の執行の取消を求めたところ拒絶されたが、この処分は違法のものであるからその是正を求めるため本申立に及んだというにある。

而して申立人等主張のとおり前記仮処分の執行がされ、右仮処分執行に対する異議申立事件で申立人等主張のとおりロ頭弁論が休止となり、その後三ケ月間に口頭弁論期日の指定がなかったこと、申立人等がその主張どおり当裁判所の証明書を執行吏に提出して右仮処分執行の取消を求めたところ拒絶されたことは、本件記録上明らかであつて、右のように仮処分異議事件の口頭弁論が休止となつたまゝ法定の三ケ月の期間を徒過した場合は右仮処分申請が取下げられたものとみなすべく、その結果仮処分が失効に帰するものと解すべく、従つて右執行は最早維持すべからざるものであり、前記のとおり執行吏が利害関係人から前記証明書を提示されて執行の取消を求められた場合に執行吏は之に応ずべきことは民事訴訟法第五五〇条第一号の法意に照らし明らかなるものと云わなければならない。然らば申立人等の本件異議申立は理由があるから主文のとおり決定した。

(裁判官 高井常太郎)

目録

東京都杉並区阿佐ケ谷壱丁目七百五拾七番地

家屋番号 同町七参弐番の参

一、木造瓦葺平家店舗 壱棟

建坪 八坪七合五勺

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